自粛期間中にペストを読んでいました。
1947年出版、今回のコロナ禍で再び話題を集め、売り上げ増加を記録していたようです。
ペスト/カミュ/新潮社
フランスの作家アルベールカミュによって書かれた小説、ノーベル文学賞受賞作品。
フランツカフカの「変身」とともに不条理文学としての代表的な作品として知られています。
本書は伝染病のペスト襲来、助け合いながら不条理に立ち向かう人々を描いた架空の物語です。
ペストの害毒はあらゆる種類の人生の悪の象徴として感じ取られることが出来る。(略)たしかにこの作品はそういう風に書かれており、そしてなによりも、終わったばかりの戦争の生々しい体験が、読者にとってこの象徴をほとんど象徴と感じさせないほどの迫力あるものにし、それがこの作品の大きな成功の理由となったことは疑いがない。(引用、ペスト/カミュ/解説、宮崎嶺雄)
解説にもある通り、「人生における不条理や、人間の悪徳など様々な悪い事象」を置き換えて読むことが出来るよう書かれている。というのが、いま改めて多くのひとに読まれている理由の一つではないでしょうか。
毎日の仕事の中にこそ、確実なものがある。その余のものは、取るに足らぬつながりと衝動に左右されているのであり、そんなものに足をとどめてはいられない。肝要なことは自分の職務をよく果たすことだ。(引用、ペスト/カミュ/新潮社)
本作品から学ぶことは多くありますが、自分の職務をよく果たすことは重要です。
自分の職務とは世の中における自分の役割のようなものだと考えることが出来ます。
役割を果たすこと。それは自分の得意なことで人や社会に貢献することではないでしょうか。
わたしたちは皆それぞれ違うし、違っていて良い。
それぞれの違いの中から自分が差し出せるものを人や社会に差し出すこと。
持続可能性という言葉が多くの人にも浸透してきたと感じますが、
「それぞれが差し出したもの」が社会で循環し続ける。
良い相互作用の循環が、わたしたちにとっての持続可能な幸福ではないでしょうか。
取るに足らぬつながりと衝動に左右されないで、「自分の欲望だけを優先するような自己中心的な行動をやめる」ことは現実世界の現代を生きるわたしたちにも必要なことです。
ペスト/カミュ/新潮社
是非ご覧ください。