星6
本書は投資やトレードをするにあたり、取引を行う「人間そのもの」を理解するという趣向の内容となっています。
著者は心理学と行動ファイナンスの専門家であり、資産マネージャーをされているダニエルクロスビー博士。
心理学や行動科学中心に書かれているのが特徴的で、投資をしない方でも十分に楽しめる内容だと感じました。
ユーモアのある例えを使って、難しい内容をわかりやすくする工夫がされています。
以下、本書で著者が引用したものです。
「…要するに、感情はルールに基づくトレードを破綻させる。…感情的な状態のときは、…自己中心的になり、ルールに注意を向けることが出来なくなる。多くの場合、感情的になると自分のルールを疑問視するようになるのではなく、単純に忘れてしまうのだ」(ブレット・スティーンバーガー著「精神科医が見た投資心理学」晃洋書房)
ご存じの方も多いかもしれませんが、行動経済学にトンネリングという視野狭窄を表す言葉があります。
トンネリングとは、トンネル内からはトンネルの外が見えないことに由来した、視野全体が狭くなったり、視野の一部が見えない状態になることです。
感情はわたしたちに強い影響を与えます。
投資に限らず、わたしたちは感情的になったときトンネリングを引き起こし冷静な判断力を失います。
しかし、
視野狭窄によって何か一つのことに囚われ、周りが見えなくなるのなら、それを逆手にとって応用すれば成果を出せるのではないでしょうか。
投資の基本は上がるか、下がるか、ふたつにひとつです。
上がるか、下がるかだけに集中し、上がると思える限り、株を買って保有するし、下がる見通しがつけば売る。ということを仕組み化して淡々とこなす(このとき感情はトンネルの外に押し出す)ことが重要であると感じます。
みなさま、それぞれ投資の哲学をお持ちになっていると思いますが、科学的根拠に基づいた発見がたくさんあります。
少し値段が高い本ですが是非、ご覧ください。
行動科学と投資/ダニエル・クロスビー/パンローリング株式会社