人間。同じ字でも「にんげん」と読めば一個の人を指す。今、宗慶が言った「じんかん」とは人と人が織りなす間。つまりはこの世という意である。(引用、じんかん/今村翔吾/講談社)
本書は戦国武将、松永久秀の物語。
「人は何のために生まれてくるのか、なぜ死ぬのか、人と言う生き物の不確かさ」
史実を元に「にんげん」や「じんかん」について書かれた時代小説。
「人(にんげん、じんかん)」が題材になっているので、現代を生きるわたしたちも共感できる部分が多くあります。歴史が好きな方も、歴史にあまり興味がない方も楽しめる一冊だと感じました。
この世には昼夜があるのはあるのは確か。その絶妙さがあってこそ草木は育ち、人を含めたすべての生き物がその恩恵に与っている。それ以外に四季が訪れるのも、川があり、海へと流れ込むのも、空を雲が流れていくのも、すべてが複雑に関わり合ってこの世を織りなしているのではないか。
「それなのに、ただ人だけが儘ならぬ」
この完璧に見える天地において、人だけが異なるものかのように思える。(引用、じんかん/今村翔吾/講談社)
「この世を織りなす"人以外のすべて"」と「人と人が織りなす間」。
「人は何のために生まれ、なぜ死ぬのか」本書は、繰り返し「にんげん、じんかん」についてわたしたちに語り掛けます。
長編ですが、あっという間の509ページ。渾身の書き込みにあなたは何を感じますか?
是非、ご自身でご覧になって確かめてみて下さい。
じんかん/今村翔吾/講談社